第27号 保険料の算定基準となる標準報酬月額とは
社会保険の保険料や保険給付額の算定に当たっては、事務処理を簡単にするために、あらかじめ一定の幅(等級)で区切った仮の報酬としての標準報酬月額を設定し、これに保険料率を乗じて得た額を保険料として徴収する仕組みになっています。今回は、この標準報酬月額に関するお話しです。
健康保険料率
<この記事の目次>
標準報酬月額は各社員の給与に基づいて決定し、それを一定期間使用することによって毎月の徴収事務を簡素化する効果を持っています。標準報酬月額の決定方法は3つあり、それぞれに重要な社会保険の手続きが発生します。
標準報酬月額の決定方法は、①資格取得時決定、②定時決定、③随時決定の3つになります。
①資格取得時決定
被保険者の資格を取得した時、つまり、入社時に今後受ける給与の額により標準報酬月額を決定します。
ここで決まった標準報酬月額は資格取得日(入社日)が1月1日~6月30日である場合は、その年の9月までか、後で説明する随時決定がおこなわれるまで、取得日が7月1日~12月31日のときは、翌年の9月までか、随時決定がおこなわれるまで適用されます。
②定時決定
毎年8月1日に在籍している被保険者について、5月・6月・7月に支払った給与総額の平均額に基づいて標準報酬月額を決定します。
一部の場合を除き被保険者全員が標準報酬月額の見直しを一度にするので、この手続きが社会保険事務の中でも中核をなすものといえるでしょう。この手続きによって決定された標準報酬月額は、随時決定が行われない限り、その年の10月から翌年9月まで適用されます。
③随時決定
昇給・降給や賃金体系の変動などによって、従来の標準報酬月額と2等級以上の差が生じた場合に、4ヶ月目から標準報酬月額を改定します。
改定した標準報酬月額は1月1日~7月31日である場合は、その年の9月まで、8月1日~12月31日のときは翌年9月まで適用されます。