第9号 労働保険制度の概要を頭に入れておこう
労働保険とは労働者災害補償保険(一般に「労災保険」といいます。)と雇用保険とを総称した言葉です。保険給付は両保険制度で別個に行われていますが、保険料の納付等については一体のものとして取り扱われています。
労働者(パートタイマー、アルバイト含む)を一人でも雇用していれば、業種・規模の如何を問わず労働保険の適用事業となり、事業主は成立(加入)手続を行い、労働保険料を納付しなければなりません(農林水産の一部の事業は除きます)。
労災保険
「過労死」なんている言葉を耳にすることがあったと思いますが、労災保険は業務上または通勤途中の事故などが原因で病気やケガ、死亡した場合に必要な給付を行う制度です。
主な給付としては、労災指定病院などで病気やケガが治るまで必要な治療を受けられる療養(補償)給付、病気やケガの為に働けなくなった場合に一定の所得補償が受けられる休業(補償)給付、障害になった場合の障害(補償)給付、死亡した場合に遺族に支給される遺族(補償)給付などがあります。
労災保険は、通勤災害で支給される給付を除いて健康保険の様な自己負担はありません。通勤災害の場合にはじめて治療を受けた時に200円を支払う負担があるだけです。また、保険料も全額会社負担となっているので給与等から控除されることもありません。
労災保険給付の概要
雇用保険
雇用保険は「失業保険」と一般的に呼ばれているように、失業した人に対して次のしごとが見つかるまでの一定額の生活保障的な給付を行う求職者給付がメインになっています。
また、60歳以上の人の雇用機会の継続を援助する高年齢雇用継続給付や、英会話やパソコン教室等、仕事に必要なスキルを伸ばすために学校に行く費用を負担する教育訓練給付などがあります。これは失業する人を減らそうとする、いわば「失業予防」的な制度になります。
保険料は業種によって給与額に一定の率を乗じた額となっており、このうち被保険者が負担する率が定められており、毎月の給与から差し引かれることになります。