税務署から「年末調整の手引き」「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」など年末調整関係の書類一式が会社に届きます。年末調整で各種控除を計算するために、従業員から各種申告書を回収します。
年末調整に必要な申告書
年末調整作業に必要な書類には、一般的に以下のようなものがあります。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
この申告書は、全員(自社以外から給与を受けているもので他社に提出しているものは除く)に提出してもらいます。実務上当年分と翌年分の2枚を提出してもらうと良いでしょう。当年分は当年中の扶養控除に関連する変更を確認するため、翌年分は翌年の給与計算の扶養控除額の計算のためです。
給与所得者の健康保険控除申告書
所得税や住民税には保険料控除があり、支払保険料の金額に応じて控除が受けられます。保険会社から届く控除証明書の内容をもとに記載された申告書を控除証明書とともに回収します。
また、親族に係る国民年金などを支払った場合や給与から控除されるもの以外のiDeCoなどについても、この申告書に記載することで社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除の対象となります。
給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除申告書兼所得金額調整控除申告書
給与の支払を受ける従業員が、その年の年末調整において基礎控除、配偶者(特別)控除、及び所得金額調整控除を受ける場合に提出します。1枚の用紙に3つの申告書が含まれています。基礎控除はもともと一律に受けられるものでしたが所得によって適用の有無や金額が異なるため申告が必要で、配偶者(特別)控除に関しても本人や配偶者の所得によって適用の有無や金額が異なるため申告が必要です。所得金額調整控除は令和2年から登場したものですのでまだなじみがありませんが、要件を満たせば最高15万円の控除を受けられます。
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 兼(特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書
従業員が一定の要件を満たした住宅ローンを組み住宅を購入・増改築すると、住宅ローンの年末残高に応じて、支払った所得税や住民税の控除を受けられます。住宅ローン減税を受けるために必要な書類です。
年末調整の対象となる従業員とならない従業員
年末調整は原則として会社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人全員について行いますが、年末調整の対象にならない人もいます。
年末調整で回収する申告書と受けられる控除
各申告書を提出することによって受けられる控除
提出書類(申告書) | 受けられる控除 |
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給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 | 扶養控除 障害者控除 寡婦控除 ひとり親控除 勤労学生控除 |
給与所得者の健康保険控除申告書 | 生命保険料控除 地震保険控除 社会保険料控除(申告分) 小規模企業共済等掛金控除(申告分) |
給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書 | 基礎控除 配偶者(特別)控除 所得金額調整控除 |
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 兼(特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書 | (特定増改築等)住宅借入金等特別控除 |
申請書とともに回収が必要な各種証明書
- 生命保険料の控除書
- 地震保険料の控除書
- 小規模企業共済等掛金払込証明書(iDeCoの掛け金を支払っている場合)
- 国民年金の控除証明書など、社会保険料を証明する書類 ※国民健康保険は自治体によって証明書の発行の有無が異なります。
- 住宅ローン控除に必要な借入金の年末残高等証明書など