割増賃金の基礎単価はどうやって求めればいいのでしょう

割増賃金の計算

割増賃金を計算するときは一時間あたりの賃金を求めておきます。残業手当などの割増賃金は、1時間あたりの賃金に割増率を掛けて計算します。

1時間あたりの賃金

時給制の場合

その時給単価そのものです。

日給制の場合

一日の給与を一日の所定労働時間数で割って求めます。

月給制の場合

この場合は少し複雑で、1ヶ月の給与を1ヶ月の所定労働時間数で割って計算します。1ヶ月の所定労働時間数及び1ヶ月の給与は、次のように求めます。

1ヶ月の所定労働時間数

1ヶ月の所定労働時間数は、通常、毎月異なります。そこで1年間を平均した1ヶ月の所定労働時間数を用います。1年間を平均した1ヶ月の所定労働時間は、次のように計算します。

  1. 年間の暦日数365日から1年間の休日合計日数を差し引いて、1年間の労働日数を求めます。
    1年間の休日合計日数は会社によって異なりますので、年末年始休み、夏期休日、祝祭日、土曜日曜など、実際に会社が休日する日を数えてください。
  2. 年間の労働日数に、1日7時間とか8時間といった会社の1日の所定労働時間数を掛けて、年間の所定労働時間数を求めます。 そして、これを12ヶ月で割って、年平均1ヶ月の所定労働時間数を求めます。
    具体例:1日 8時間   年間休日数 110日
     365日-110日=255日
     255日×8時間=2,040時間
     2,040時間÷12ヶ月=170時間(これが1ヶ月の所定労働時間数)

1ヶ月の給与

割増賃金の計算の基礎になる1ヶ月の給与は、労働の対価として支払われる給与の総額をいいますので、基本給だけでなく、諸手当も含まれますが、下記のものは除外しても良いことになっています。

割増賃金の計算の基礎になる賃金から除外されるもの

  1. 家族手当
  2. 別居手当
  3. 通勤手当
  4. 子女教育手当
  5. 住宅手当
  6. 臨時に支払われる手当
  7.  

なお、これらの諸手当に該当するかどうかは、その名称ではなく、その目的などの実態によって判定します。

例えば、家族手当は、扶養家族数に応じて支給される手当をいうので、家族手当という名称で支給していても、扶養家族数に関係なく一律に決められているものは、割増賃金の計算の対象となる給与に該当します。

逆に、生活手当という名称で支給していても、扶養家族数をもとに決められている場合は、ここでいう家族手当に該当して割増賃金の計算の対象となる給与に含まれません。

また、通勤手当は、通勤距離や通勤にかかる費用に基づいて支給されるものをいうので、通勤距離等にかかわらず一率に決められたものは、割増賃金の計算の対象となる給与に該当します。

臨時に支払われる手当(賃金)とは、結婚手当や出産手当などのように個人的慶弔等に対して支払われる手当をいいます。尚、1ヶ月を越える期間ごとに支払われる賃金は、例えば、賞与などは割増賃金の対象となる給与には含まれません。