第12号 給与支払の原則(ルール)
給与の支払いには、労働基準法でいう「賃金支払5原則」というのがあり一定のルールが定められています。今回はその「賃金支払5原則」にフォーカスします
賃金支払5原則とは
<この記事の目次>
給与の支払いについては、労働基準法で次のように一定のルールが定められています。
「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を、毎月1回以上、一定に期日を定めて支払わなければならない。」
これを賃金支払5原則といいます。これは、正確に給与計算事務を行うための基本となりますので、それぞれの「原則」と「例外」についてポイントをつかんでおきましょう。
1.通貨払いの原則
(原則)
賃金は通貨(日本円)で支払わなければなりません。外国通貨や小切手、現物(商品など)で支払うことはできません。この趣旨は、正確に価値が評価ができない現物給与や、換金に時間のかかる通貨以外の支払いは労働者に不利になるからです。
(例外)
労働協約で定めれば、通勤定期券などを現物で支給することができます。
また、一定の条件
①労働者の同意を得ること
②労働者指定の本人名義の預貯金口座に振り込まれること
③賃金の全額が所定の支払日に払い出しできること
を満たせば、金融機関への振込みにより支払うことができます。
2.直接払いの原則
(原則)
賃金は直接労働者本人に支払わなければなりません。 代理人や親権者などに支払うことは禁止されています。
(例外)
労働者本人が病気などのために使者(妻子)に対して支払うことは認められています。
3.全額払いの原則
(原則)
賃金は、その全額を支払わなければなりません。事業主の都合で、積立金などの名目で控除したり、会社から購入した商品の代金を控除したりすることはできません。
(例外)
①法令に定めのある場合: 社会保険料、所得税、住民税の控除
②労使協定がある場合: 購買代金、社宅費、労働組合費等
4.毎月1回以上払いの原則
(原則)
賃金は、毎月1回以上支払わなければなりません。
毎月とは、暦月で、毎月1日から月末までの間に、少なくとも1回以上支払わなければならないということです。
なお、「年俸制」の場合も分割して毎月支払う必要があります。
(例外)
①臨時に支払われる賃金(退職金や死傷病見舞金等)
②賞与
③1ヶ月を超えて支払われる精勤手当、勤続手当等
5.一定期日払いの原則
(原則)
賃金は、一定期日に支払わなければなりません。 この一定期日とは、「毎月25日」とか「月末日」というようにその日が特定されてなければなりません。 「毎月25日から月末までの間」とか、「毎月第3月曜日」のようにその月によって支払日が特定されていないものは禁止されています。
(例外)
①臨時に支払われる賃金(退職金や死傷病見舞金等)
②賞与
③1ヶ月を超えて支払われる精勤手当、勤続手当等