第14号 労働時間と時間外労働の話
給与明細にもある「時間外手当」、これは労働時間と関係があることは明らかですが、割増賃金や時間外というのはどんな基準や法律で規制されているのだろう。
労働時間には原則があるのだ
「命令すれば、社員を1日24時間働かせることが出来る!」
こんなことを思っている経営者は誰もいないと思いますが…、労働時間というものは、労働基準法という法律で厳しく規制されているんです。労働基準法では、原則として1日8時間、1週40時間を超えて労働させることはできないとされています。
これを法律が規定している労働時間ということで「法定労働時間」といいます。会社が取り決めている労働時間は「所定労働時間」といい、区別されているんですよ。法定労働時間を超えて働かせた場合は、割増賃金を支払う必要があります。
飲食店などは年中無休で朝から晩まで営業しているような一定の業種では、1週40時間だととても足りないということになります。これらの業種は労働時間に関して特例が設けられているんです。この特例業種は、社員数(パート含む)が10人未満の「商業・映画・演劇業・保健衛生業・接客娯楽業」で、1週間の法定労働時間は44時間とされています。
時間外労働(いわゆる「残業」)をさせるには必要な法的手続きがある
1日8時間では仕事が終わらない場合は、この時間を超えて労働させることもありますよね。いわゆる残業というやつです。
残業をさせる場合は、あらかじめ「時間外労働や休日労働に関する協定」を結んでおく必要があります。この協定書のことを「三六(さぶろく)協定」と呼びます。知らない人が多いですが、実はこの協定を結ばないと時間外労働や休日労働をさせることはできないことになっているんです。
三六協定を締結して労働基準監督署に届け出れば、1週40時間、1日8時間を超えて勤務させることができ、休日出勤も可能になります。厳密に言うと 時間外労働をさせるには、協定以外に就業規則等に所定労働時間を超えて働かせる記述があって始めて業務指揮の根拠となるので、覚えておいてください。 三六協定を締結せずに時間外労働などをさせた場合は、法を違反したということで 監督官庁からの免罰をうけることになります。