第32号 年次有給休暇ってどんなしくみなの?
「年次有給休暇」(「有給」ってよく短く言いますね)というのは労働基準法という法律で規定されています。一定の条件を満たせば、労働者の権利として当然発生するものなんです。今回は、この「年次有給休暇」について解説します。
年次有給休暇は社員の当然の権利なのだ
<この記事の目次>
会社によっては、法律の規定よりも多い年次有給休暇を規定しているところもありますが、最低でも法律どおりに与えなければならず、実際には法律どおりに与えているのが一般的です。
詳しくは後で説明しますが、概要はこんな感じ。
6ヵ月間継続して勤務し、その間の出勤率が8割以上である人に10日の休暇をとる権利が発生します。その後、勤続年数に応じて増えていくのですが、前年の出勤率が低い場合(8割未満)は発生しません。また、年次有給休暇の消滅時効(使わなければ無くなる)は2年とされており、前年に使わなかった有給休暇は繰り越せます。
会社側には時季変更権ってのがある
働く人は、年次有給休暇を自由に使ってよいことになっています。ただし業務の繁忙な時季に年次有給休暇を与えることが【事業の正常な運営を妨げる場合】には、会社側は【その日は忙しいから別の日にしてくれ】という、時季を変更する権利があるのです。
年次有給休暇が発生する一定の条件とは
【条件その1】 6ヵ月間以上継続して勤務していること
実際に労働したかどうかに関係なく、雇用関係が継続しているということです。つまり、病気療養で欠勤している状態でも継続勤務とされるということです。
パートから正社員になったような場合でも継続勤務とされます。
【条件その2】 8割以上の出勤率であること
出勤率(%) = 出勤日÷全労働日*100 (≧80%)
B.産前産後の女性が労働基準法65条の規定により休業した期間
C.育児休暇・介護休業法による育児休業または介護休業をした期間
D.年次有給休暇を取得した日
A.所定の休日に労働させた場合のその日
B.使用者の責めに帰すべき事由による休業の日
C.正当なストライキその他正当な争議行為により労務の提供がまったくなされなかった日
勤続年数に応じて年次有給休暇の付与日数は増えていきます
年次有給休暇の付与日数は以下の様に勤続年数に応じて増えていきます。
有給休暇の付与日数
勤続年数 | 6ヵ月 | 1年6ヵ月 | 2年6ヵ月 | 3年6ヵ月 | 4年6ヵ月 | 5年6ヵ月 | 6年6ヵ月 |
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付与日数 | 10日 | 11日 | 12日月 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
8割以上の出勤率を満たせなかった場合の年次有給休暇の日数
継続勤務期間 | 雇入れ~6ヵ月 | 6ヵ月~1年6ヵ月 | 1年6ヵ月~2年6ヵ月 | 2年6ヵ月~3年6ヵ月 |
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出勤率 | 90% ○ | 70% × | 80% ○ | 80% ○ |
付与日数 | 9 | 10日 | 0日 | 12日(注) |