第39号 労働保険の基礎知識を知っておこう!
労働保険とは労働者災害補償保険(一般に「労災保険」といいます。)と雇用保険とを総称した言葉です。 保険給付は両保険制度で別個に行われていますが、保険料の納付等については一体のものとして取り扱われています。今回は、この「労働保険」の基礎知識を解説します。
労働保険の適用
<この記事の目次>
労災保険や雇用保険は事業所を単位として適用されます。1人でも労働者を雇い入れて、事業が行われている限り、当然のこととして労災保険または雇用保険の保険関係が成立することから「当然適用事業所」と言われています。一部の事業は、当分の間は任意適用事業とされていて、これを「暫定任意適用事業」といいます。
暫定任意適用事業
農林水産の事業のうち、常時使用労働者数が5人未満の個人経営の事業のことを言います。 なお、労災保険では農業に限り事業主が特別加入をする場合には常時使用労働者数が5人未満であっても当然適用事業となります。
区分 | 暫定任意適用事業/任意(包括)適用事業 |
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労災保険 | 【個人経営で5人未満の労働者を使用する農業】 一定の危険・有害な作業を主として行うもの、および、農業関係の特別加入をしている事業主が行うものを除く 【個人経営で5人未満の労働者を使用する水産業】 【個人経営の林業で、常時には労働者を使用せず、かつ、年間使用延べ300人未満】 |
雇用保険 | 個人経営で5人未満の労働者を使用する農林水産業の事業 |
一元適用事業と二元適用事業所
一元適用事業というのは、労災保険と雇用保険を1つの労働保険の保険関係として取扱い、保険料の申告・給付などを両保険一本で行うものを言います。ほとんどの事業が一元適用事業となっています。二元適用事業とは、労災保険の保険関係と雇用保険の保険関係を個別に取扱い、保険料の申告・給付をそれぞれ別々に行う、次のような事業が該当します。
1)都道府県および市区町村が行う事業
2)1)に準ずるものの事業
3)港湾労働法の適用される港湾の運送事業
4)農林・水産の事業
5)建設の事業
継続事業と有期事業
継続事業とは、有期事業以外の事業、すなわち事業の期間が予定されていない事業のことです。一般の会社のほとんどが継続事業に該当します。なお、有期事業とは、事業の期間が予定されている事業、すなわち事業の性質上、一定の予定期間に所定の事業目的を達成して終了する事業のことを言います。例えば、建築工事、ダム工事、道路工事などの土木工事が該当します。